高齢者に多い難聴の原因と補聴器の選び方

年齢を重ねると、身体にさまざまな変化が訪れる中で、聴力の低下もその一つです。「最近、テレビの音を大きくしないと聞こえない」「会話で聞き返すことが増えた」という悩みを抱える方は少なくありません。

このページでは、高齢者に多い難聴の原因や影響、そして適切な対処法についてわかりやすく解説します。補聴器や収音器の違いについても触れていますので、補聴器や収音器をご検討している方は参考にしてください。

この記事を要約すると、、、

  • 加齢に伴う難聴の進行や原因、生活への影響を具体的に解説
  • 補聴器と収音器の違いや、それぞれの利点・適用範囲を紹介
  • 補聴器の種類や価格帯、使用時の注意点について詳しく説明

加齢性難聴の特性や対処法を理解し、補聴器を活用することで快適な生活を取り戻す方法が学べます。

難聴は何歳頃から始まるのか

耳は音を聞き取る感覚器官ですが、加齢に伴いその機能に変化が生じます。聴力の低下は早い場合、30歳代から始まると言われています。ただし、この段階では自覚しにくく、軽微な変化にとどまります。本格的に難聴の割合が増えるのは中高年以降です。

国立長寿医療研究センターの長期縦断疫学研究の結果から、年齢とともに難聴の有病率や発症率がどのように変化するかが明らかになっています。

難聴の有病率

難聴有病率(軽度難聴以上の割合)は、65歳以上で急増します。

  • 60歳台後半:男性:44%、女性:28%
  • 70歳代前半:男性:51%、女性:42%
  • 70歳代後半:男性:71%、女性:67%
  • 80歳以上:男性:84%、女性:73%

難聴発症率(聴力が正常だった人が一定期間後に難聴になる割合)

60歳代前半の方が10年後に難聴を発症する割合は約3割、70歳代前半では10年後に約6割が難聴を発症する可能性があります。

難聴は放置すると進行しやすい症状です。早めに聴力検査を受け、状況を把握することが大切です。

加齢性難聴が起こる原因

加齢性難聴の主な原因は、内耳や聴神経の老化によるものです。具体的には以下のような要因が挙げられます。

内耳の有毛細胞の減少

内耳にある有毛細胞は、音の振動を感知して脳に伝える役割を担っています。しかし、加齢に伴いこの細胞が減少することで、音を感知する能力が低下します。有毛細胞は一度損傷すると自然に回復しないため、加齢性難聴の進行を止めることは難しいとされています。

血流の減少

高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、内耳の血流を悪化させ、聴力低下を引き起こす要因となります。特に、内耳は血流に敏感な器官であるため、全身の健康状態が聴力に大きく影響します。

長年の騒音への曝露

若い頃から騒音にさらされる生活を送ってきた場合、内耳に負担がかかりやすく、加齢とともにその影響が顕著になります。例えば、大音量のイヤホンや騒音の多い職場環境は聴力への負担を蓄積させます。

聴力低下による生活への影響

聴力が低下すると、日常生活で多くの不便や問題が生じます。特に、聞こえの質が低下すると、周囲とのコミュニケーションだけでなく、安全性や心理的な面でも大きな影響を与えることがあります。

コミュニケーションの難しさ

会話の中で聞き取れない部分が増えると、聞き返しが増え、結果として会話がスムーズに進まなくなります。この状況が続くと、人との交流が減り、孤立感や疎外感を抱える原因になります。

安全面でのリスク

外出時の車のクラクションや電車のアナウンスに気づかないことで、交通事故や日常の危険が増加します。また、家庭内でも、インターホンや警報音に気づかないなど、命に関わる事態が発生する可能性があります。

認知機能への影響

聴力低下は脳への刺激を減少させるため、認知症のリスクを高める要因になるとされています。近年の研究では、難聴の高齢者は認知機能低下の速度が速くなることが明らかになっています。これは、聞こえないことで脳が処理する情報量が減り、結果的に脳の活動が鈍くなるためです。

難聴への具体的な対策

難聴への対処法として、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

耳鼻科での診察

聴力検査を受け、難聴の進行状況や原因を把握しましょう。特定の疾患がある場合は、治療を優先します。特に耳垢の詰まりや急性中耳炎など、加齢性難聴以外が原因の場合、適切な治療で改善することがあります。

補聴器の活用

聴力低下を補うためには補聴器が最も効果的です。最近の補聴器は性能が向上しており、周囲の音を自然に聞き取れるものが増えています。初めて使用する際には調整や慣れが必要ですが、適切な補聴器を選ぶことで生活の質が大幅に向上します。

リハビリテーションやトレーニング

聴力を補助するだけでなく、聞き取る力を鍛えるためのリハビリも効果的です。専門施設では、聞き分け能力を向上させるトレーニングを受けられる場合があります。

家族や周囲のサポート

聴力低下に悩む高齢者を孤立させないためには、周囲の理解が欠かせません。話しかける際にはゆっくりと明瞭に話す、背景音を減らすなどの配慮を行いましょう。

補聴器と収音器の違い

聞こえを改善するために補聴器や収音器の使用を検討する方も多いですが、これらには大きな違いがあります。それぞれの特徴を正しく理解し、適切な機器を選ぶことが重要です。

補聴器

医療機器として認定されており、音を増幅しつつ、使用者の聴力に合わせて音質を調整できます。補聴器は個々の聴力に合わせて調整が可能で、特定の周波数の音を聞き取りやすくします。また、ノイズキャンセリング機能を備えている製品もあり、騒がしい環境でも会話がしやすくなります。

収音器

音を単純に増幅する機器で、特にテレビやラジオの音を聞きやすくするのに役立ちます。しかし、雑音も一緒に増幅されるため、騒がしい場所では効果が限定的です。収音器は補聴器に比べて安価ですが、聞こえの質を重視する場合は補聴器の方が適しています。

高齢者の難聴には補聴器がおすすめ

加齢による難聴には、収音器より補聴器の使用をおすすめします。収音器は単純に音を大きくする機能しかありませんが、補聴器は個々の聴力に合わせて音を調整できるため、必要な音をしっかり聞き取れるようになります。特に会話の聞き取りが難しい場合でも、補聴器は雑音を抑えつつ会話音を強調するなど、高性能な機能でサポートします。また、専門家によるフィッティングが受けられるため、自分に合った使い方ができるのも魅力です。

補聴器の種類や価格

補聴器には大きく分けて3つのタイプがあります。自分のライフスタイルや予算にあったものを選択しましょう。

  1. 耳かけ型(中度~高度の難聴):国内で主に流通されているタイプ。めがねのように耳にかけて使用します
  2. 耳穴型(軽度~中度の難聴):耳の穴の中に装着する小型の補聴器。目立ちにくいので、補聴器をつけていることを周りに知られたくない方におすすめです
  3. ポケット型(中度~高度の難聴):本体は首にかけたり胸のポケットに入れておき、イヤホンをコードでつなぎます。音量を操作しやすいことが特徴です

耳かけ型と耳穴型の価格は片耳5万円~60万円と機能やコンパクト性などによって開きがあります。ポケット型は3万円~15万円程度と3タイプの中ではリーズナブルです。

まとめ

加齢による聴力低下は、誰にでも起こり得る自然な現象です。ただし、適切な対処を取ることで、生活への影響を最小限に抑えることができます。補聴器の使用や定期的な診察を習慣にし、快適な日常を取り戻しましょう。また、家族や周囲の方が積極的にサポートすることで、高齢者の不安や孤立感を軽減することも重要です。

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